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宮部みゆき『今夜は眠れない 』

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【書誌情報】

宮部みゆき『今夜は眠れない』

中央公論社 1992年2月

【市川駅南口図書館の配架情報】
今夜は眠れない (角川文庫)

宮部 みゆき/KADOKAWA ,2002年

請求番号:B913.6/ミ

​作品解説

 主人公の緒方雅男はサッカー部に所属している中学校1年生。両親は結婚15年目のごく普通の家庭である、はずだった。ある日弁護士を名乗る男が家にやってきた。弁護士は雅男の母・聡子が20年前に助けた男から依頼を受けてやってきたという。男の名前は澤村直晃。澤村は2か月ほど前に肺癌で亡くなった。澤村は身寄りがなく聡子に助けられたのを感謝していたことから、亡くなる直前に財産を全額寄贈するという遺言を書いた。その額はなんと5億円だった。そこから平和だった緒方家が変わった。近所の人はあることないこと噂し、マスコミは執拗に追いかけた。そして脅迫の電話が何回もかかってくるようになった。会社で馬鹿にされた父は、母の話が信じられないと言って家を出てしまう。澤村はなぜ聡子に5億円もの現金を遺したのか。疑問に思った雅男は親友で将棋部のエース・島崎俊彦とともに調査を始める。調査に一段落ついたがその直後、雅男は事件に巻き込まれてしまう……。澤村はなぜ聡子に遺言を遺したのか。そしてこの騒動の結末とは……

​記述:N.S

​作品に関連した場所

 市川市は雅男と島崎が調査をする途中で出てくる。父と母が結婚してから最初に住んだ町が西船橋だった。「ハイム西船橋」という小さなアパートである。また、物語では「総武線快速幕張行き」で西船橋駅に行く途中に、列車が市川駅にすべりこみ、停車するシーンがある。しかし、実際の総武線快速は幕張駅にも西船橋駅にも止まらない。事実のように見えてフィクションが織り交ぜられている。雅男たちが市川駅を経由してアパートに行ったのは、一見すると事件と何も関連がないように思える。しかし、アパートの調査後に出会った人物が雅男の巻き込まれる事件に大きく関わってくる。このことからアパートでの調査は伏線であり、物語にとって重要な出来事だといえる。そして、西船橋駅まで止まらずに行くよりも、停車駅のシーンがあった方がより印象深くなる。よって、市川駅を取り上げたのも、調査が伏線であると暗示する一つの手段として用いられたと考えられる。

📍JR市川駅

 〒272-0034

 千葉県市川市市川1丁目1−1​​

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