Socially Engaged expression-Related Education of Arts and Literature
文学と芸術を通じた地域社会参画型表現教育プログラム
真間の手児奈
【市川駅南口図書館の配架情報】
真間の手児奈
中津 攸子/ 新人物往来社 ,1995年
請求番号:I/D7
作品解説
真間のあたりではたった一つ、真間の井とよばれる井戸からきれいな水がわきだし、皆この井戸に水を汲みに集まっていた。そこへ集まる人々のなかで特別目立って美しい手児奈という若い娘は、着飾らずも都の姫君より美しく清らかであった。そのうわさは広まり、村の若者や遠い都の人々までが手児奈を妻にと望んだが、彼女は誰にも返事をしなかった。そして、とうとう若者たちに病気になるものや争いを始めるものがあらわれた。それを知った手児奈は「私の心はいくらでもたくさんの人に分けることができる。だが私の体は一つ、もし誰かのお嫁さんになれば、きっとほかの人たちが悲しむ。どうしたらよいか」と言い残し、真間の入江に身を投げた。これを知った里人たちは手児奈を井戸のそばに葬り、霊をなぐさめたそうだ。
真間の手児奈伝説は万葉集に採録されている。2人の男性から求婚された娘が自ら命を絶つ話として二男一女型とよばれ、同型に、菟原処女(うないおとめ)(巻九、1809・1810・1811)や桜児(さくらこ)(巻十六、3786・3787)がある。また、類型として縵児(かづらこ)(巻十六、3788・3789・3790)は3人から求婚されている。
万葉集の手児奈を偲ぶ関連歌は、山部赤人(巻三)、高橋虫麻呂(巻九)、東歌(巻十四)である。正岡子規や北原白秋など近代短歌や、俳句にもみられる。
記述:T.R
【参考文献】
『市川のむかし話』 市川民話の会/編著(1980年) [NDL Online]
関連書籍
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随筆万葉集 1〜3 中西 進/編 作品社
🏛所蔵館:中央
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しっかり古典を読むための万葉集評釈 次田 真幸/著 清水書院
🏛所蔵館:中央
作品に関連する場所
手児奈の霊を慰めたとされる場所は弘法寺であり、現在祀られている場所は手児奈霊神堂である。手児奈が水汲みをしていたとされる井戸は現在ないが、弘法寺のすぐ近くの亀井院にあった。
諸説あるが弘法寺は行基が建立したとされる。
真間の周辺、手児奈霊神堂、弘法寺から市川駅方面には万葉集の歌を書した「大門通り 万葉の歌パネル」という展示が多くある。以下のウェブサイトより設置情報を確認できる。
📍弘法寺
〒272-0826
千葉県市川市真間4-9-1
📍手児奈霊神堂
〒272-0826
千葉県市川市真間4-5-21
📍亀井院
〒272-0826
千葉県市川市真間4-4-9