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​幸田露伴『日蓮上人』

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この書籍は博文館から「少年文学」第25編として1894年に刊行されました。

後に博文館から1909年に出版された『露伴叢書』後編に収録されています。

【市川中央図書館の配架情報】

『露伴叢書』後集    

幸田 露伴/ 博文館,1909年 

請求番号:918.6/コ/2

ただの仏教説話と思うことなかれ

​作品解説

これは数多の非難や挫折にも決して屈せず奮い立ち、

ついには一大宗教を作り上げた男の話――

 それぞれの宗派が我が宗派こそがただ一つの教えであると主張する時代に疑問を持つ蓮長(後の日蓮上人)は、幼少期から修行をしていた清澄寺から、他の宗派を理解するために真言宗や天台宗をはじめとした多くの寺院に遊学し、目で見て教えを学び、咀嚼していく。

 多くの宗派の旅を終えて、抱えていた疑問に対する自分なりの答えを見つけ帰ってきた蓮長は、後を継いでほしい師や父母の想いを断ち切って、世に背を向けて自分が悪者だと言われようとも成し遂げると、旅を経て決断した悲願を父母に告げる。その勢いと覚悟、何より両親に宣言することで彼の中でその志が明確に形作られ呼吸をしはじめたところには、思わず息を詰めるだろう。

 数多の非難や困難があったとしても己を信じ、志を曲げず貫き通す姿には勇気や憧憬の念を感じる。

 また、その文体や、著者がなぜ日蓮上人に焦点を当て執筆したのかという点にも注目。日蓮上人の人生を知ると、教科書などで学んだ既存の印象がどのように変化するのか、再考することで新たな気付きがあるだろう。

記述:​S.R

​小説に登場した場所

 日蓮上人が縁をきっかけにして富木胤継に教えを説きに赴いた場所は、当時下総若宮館があった、市川市のJ R総武線下総中山駅から徒歩で10分程度の正中山法華経寺の奥之院である。
 この小説には、市川市だけでなく様々な日蓮宗および日蓮上人に関する場所が取り上げられている。日蓮上人が勤行苦学した際に吐き出した血がついた笹についても触れている。この血が付着した笹、通称「凡血の笹」は、千葉県鴨川市にある日蓮宗大本山清澄寺にある。

📍正中山法華経寺 奥之院

 〒272-0813

 千葉県市川市中山2-21-1

 

【交通情報】

👣​京成中山駅より

 徒歩12分

📍日蓮宗大本山清澄寺

 〒299-5505

 千葉県鴨川市清澄322-1

 

【交通情報】

🚌JR外房線安房天津駅より

 バス12分

解説文
小説に登場した場所
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